夜勤や日付をまたぐ勤務では、出勤日と退勤日が異なるため、通常の日勤と同じ設定では勤務時間を正しく集計できないことがあります。深夜時間帯の労働に加え、時間外労働や休日労働が発生すると、割増賃金の計算も複雑になります。
勤怠管理では、勤務の開始から終了までを正しく把握したうえで、休憩や深夜、法定時間外、法定休日に該当する時間を区分することが大切です。ここでは基本的な考え方と計算例、システムを選ぶ際の確認点を紹介します。
例えば20時に出勤し、翌朝5時に退勤する勤務では、出勤と退勤の暦日が異なります。システムが同じ日付の打刻だけを組み合わせる設定だと、退勤が翌日の出勤として扱われたり、打刻漏れと表示されたりすることがあります。
勤務の所属日をどのように表示・集計するかを決め、翌日まで続く一連の勤務として扱える設定を確認しましょう。表示上の所属日と、法定休日や割増の判定は区別して確認する必要があります。
夜勤中に休憩を取る場合、勤務の開始から終了までの長さが、そのまま労働時間になるわけではありません。特に休憩が22時から翌5時の間にある場合は、その休憩時間を除いて深夜労働時間を集計します。
休憩の予定と実際に取得した時間が異なることもあります。実際の休憩開始・終了時刻を把握する仕組みを整え、一律控除によって働いた時間を除外していないか確認しましょう。
夜勤だからといって、勤務時間のすべてが深夜労働や法定時間外労働になるわけではありません。深夜、法定時間外、法定休日はそれぞれ異なる条件で判定され、同じ時間に複数の区分が重なる場合もあります。
たとえば深夜帯の所定労働と、深夜帯の法定時間外労働では必要な割増が異なります。時間帯と労働の区分を分けて集計することが、計算漏れを防ぐ第一歩です。
労働時間の基本は、始業から終業までのうち、実際に労働した時間を把握することです。例えば20時から翌5時まで勤務し、0時から1時まで実際に休憩した場合、拘束9時間から休憩1時間を除いた労働時間は8時間です。
ただし、休憩中にも業務を指示され、自由に利用できなかった時間は、実態を確認する必要があります。予定上の休憩と実際の休憩を区別することが、正しい集計につながります。
原則として、22時から翌5時までに労働した時間は深夜労働に該当し、通常の賃金に25%以上の割増が必要です。夜勤手当を支払っている場合も、その内容が法定の割増賃金を満たしているか確認しましょう。
前述の20時から翌5時までの勤務で、0時から1時が休憩なら、深夜帯の7時間から休憩1時間を除いた深夜労働は6時間です。休憩の位置が変われば、同じ労働時間でも深夜時間は変わります。
会社が定めた所定労働時間を超えても、直ちに法定時間外労働になるとは限りません。原則として、法定労働時間は1日8時間、1週40時間ですが、変形労働時間制などでは判定方法が異なります。
法定時間外に該当する時間には、原則25%以上の割増が必要です。所定時間外と法定時間外を分けて集計し、法定内の扱いは就業規則や賃金規程も確認しましょう。
深夜帯の労働が同時に法定時間外労働に当たる場合、原則として時間外25%以上と深夜25%以上を合わせ、通常の賃金に対して50%以上の割増が必要です。通常賃金を含めると、少なくとも1.5倍の計算です。
例えば割増賃金の基礎となる時給が1,500円で、該当する労働が1時間なら、その時間の賃金は最低2,250円です。深夜と時間外を両方判定することが重要です。月60時間を超える法定時間外労働には、原則50%以上の時間外割増が適用されます。
法定休日に労働した時間には、原則35%以上の休日割増が必要です。その時間が22時から翌5時の深夜帯にも該当する場合は、深夜25%以上を加え、通常賃金に対して60%以上を割り増します。
法定休日と会社が定める所定休日は必ずしも同じではありません。どの日が法定休日に当たるかを勤務表や社内規程で確認し、休日をまたぐ勤務は該当する時間帯を適切に区分しましょう。
割増賃金は、対象となる労働時間と割増率だけでなく、基礎となる時間当たりの賃金を正しく求める必要があります。手当の名称だけで除外の可否を判断せず、支給の実態や法令上の取り扱いを確認しましょう。
月60時間を超える法定時間外労働の判定では、月単位の時間外労働の累計も必要です。計算例は一般的な前提によるものであり、実際の制度や賃金規程に合わせて確認してください。
夜勤の開始・終了時刻、翌日退勤、休憩時間を含めてシフトを設定します。24時間を超える表記や翌日扱いの設定方法はシステムによって異なるため、画面上の表示と集計結果の両方を確認しましょう。
日勤から夜勤への変更や、予定より長く勤務した場合にも対応できることが大切です。実際の勤務パターンで試算すると、導入後の打刻漏れや所属日の誤りを見つけやすくなります。
勤怠管理システムには、勤務時刻と休憩をもとに、深夜時間や時間外時間を集計できるものがあります。手計算の負担を抑えられる一方、就業規則や勤務制度に合った設定ができるかどうかが重要です。
変形労働時間制、法定休日、月60時間超などの扱いを確認し、給与システムへの連携項目も照合します。自社の規程に合う設定と検証を行い、結果を担当者が確認できる運用を整えましょう。
翌日の退勤打刻忘れや、休憩の登録漏れを放置すると、集計や給与計算に影響します。退勤打刻がない場合、想定より勤務時間が長い場合などに、本人や管理者へ通知できると確認のきっかけになります。
アラートが出たら、勤務実態を確認して必要に応じて申請・修正し、承認履歴を残します。締め日前に不備を解消することで、月末の確認負担を減らしやすくなります。
月末の夜に始まり、翌月の朝に終わる勤務では、勤務の表示日と賃金計算上の扱いが分かりにくくなることがあります。どの勤務として記録され、給与の締め処理にどのように連携されるかを事前に確認しましょう。
月ごとの法定時間外労働の集計にも影響するため、システムの初期設定だけで判断せず、就業規則や適用される法令を踏まえて検証します。月末をまたぐ実例で集計結果を確認すると安心です。
変形労働時間制を採用している場合、勤務日ごとに定めた時間や対象期間の法定労働時間の枠などに基づいて時間外労働を判定します。単純に毎日の8時間超だけを集計すると、正しい結果にならないことがあります。
制度の種類とシフトの定め方を確認し、対象期間の開始日や所定労働時間を設定しましょう。勤務制度に応じた時間外判定ができるか、導入前の試算が必要です。
夜勤が法定休日の前後にかかる場合は、勤務の開始日だけを見て勤務全体を一律に休日扱いするのではなく、実際の勤務と休日の設定を確認します。休日の特定方法や交代制勤務の取り扱いによって、確認すべき条件が異なります。
法定休日と所定休日、振替休日と代休も区別しましょう。自社の休日設定に沿って対象時間を判定するため、判断に迷う場合は労働局や専門家に相談する方法があります。
勤怠の締め前に、従業員が出退勤時刻や休憩、深夜時間を確認できるようにすると、打刻漏れや予定と異なる勤務に気付きやすくなります。修正が必要な場合の申請先も併せて周知しましょう。
管理者は申請内容と勤務実態を確認し、承認後に再集計します。本人と管理者の双方で確認することで、給与計算前の誤りを見つけやすくなります。
ここでは、勤怠管理システムの導入にあたってよくある3つの課題ごとに、それぞれオススメのシステムを紹介します。
※引用元:キンタイミライ公式HP
(https://kintaimirai.jp/)
タップすると各機能の説明が表示されます
「時間帯ごとの要員数」と「人件費予算」を同時に確認しながら、シフトの登録・調整を実施
1ヵ月60時間を超える時間外労働について、代替休暇を取得
指定した起算日に基づき、4週4休のチェックを実施し、必要に応じて休日出勤を割り当て
社会保険・36協定・長時間労働に関して、指定したルールに基づきアラート
振替出勤が発生してから指定期間が経過すると、休日出勤の割増賃金対象の時間数として自動精算
その企業固有の集計方法をきめ細かに設定し、集計を自動化
集計結果を含んだ出勤簿をPDF形式で出力
日々の勤務実績に基づく人件費を計算し、締め日を待たずして人件費を把握可能
従業員のマスタ情報を1ヶ月単位で管理できるほか、CSV形式で一括して取得/編集/登録も可能
社員やバイト、パートといった従業員の属性別にカレンダーを設定できるほか、まるめ・集計機能との連動も可能
登録されたシフトに基づいて、遅刻早退を自動で判定
売上や生産高、処理量などの成果を入力し、その成果と勤務実績を対比させて、折れ線グラフで表示
※引用元:ジョブカン勤怠管理 公式HP
(https://jobcan.ne.jp/)
タップすると各機能の説明が表示されます
リアルタイムでスタッフの勤務状況の確認や拠点ごとの勤怠管理が可能
直感的な画面操作で簡単にシフトを申請・作成が可能
出勤管理機能やシフト管理機能と連動し、複雑な休暇管理を簡単に実施
スマホやタブレットでも、打刻・閲覧・各種申請などが可能
スタッフやタスクごとの工数集計やデータ出力・分析が可能
スタッフの勤務状況を自動集することが可能
時間外労働状を一覧で確認でき、36協定超過がある際は自動アラートでお知らせ
画面上の言語は、英語、韓国語、スペイン語、タイ語、中国語(簡体字・繁体字)、ベトナム語への切り替えが可能
医療現場の勤務形態に合わせた運用が可能
※引用元:マネーフォワード クラウド勤怠 公式HP
(https://biz.moneyforward.com/attendance/)
タップすると各機能の説明が表示されます
日次勤怠、勤怠確認、分析レポート、拠点別打刻集計、カスタム自動集計(数値集計)
役職階層、ワークフロー経路、申請ワークフロー、代理申請ワークフロー、受信ワークフロー
異動予約(役職)一覧、異動予約(就業ルール)一覧
有給休暇の自動付与、有給休暇付与予定一覧、有給休暇管理簿
不正な打刻・打刻漏れ、許可されていない打刻、無効な勤務パターン
打刻ごとの丸め設定、出勤・退勤・休憩の丸め設定、勤怠項目ごとの丸め設定、日ごと・月ごとの丸め設定、未申請の丸め設定、シフト範囲外打刻の丸め設定
従業員データ、日次勤怠データ、有給休暇利用実績、休暇付与データなどのインポート
従業員データ、月別データ、出勤簿データ、出勤簿データ、1ヶ月のシフト表、時間帯別のシフト表などのエクスポート
シフト管理、操作権限設定、ワークフロー通知、マネーフォワード クラウド給与との連携
※選定基準:
・キンタイミライ:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、本番開発前のプロトタイプ開発および導入後の無料調整を唯一行っているシステムとして選出(2023年5月16日調査時点)。
・ジョブカン勤怠管理:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、必要な機能を選んで価格が決まる製品で、機能が200種類と最も多い (2023年5月16日調査時点)。
・マネーフォワード クラウド勤怠:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、一元管理できるバックオフィス業務のシステムが最も多い(2023年5月16日調査時点)。
ここでは、勤怠管理システムを乗り換えるにあたってよくある3つの課題ごとに、それぞれどういう基準でシステムを選ぶべきかを解説いたします。
既存のシステムでは自社のルールに合った管理でができておらず、手作業が発生しているなど、今のシステムに課題を抱えている企業もたくさんいらっしゃることでしょう。ホテル、運輸・倉庫、小売り、飲食といった、一般的なオフィスワーカーとは異なる勤務体系の業種に多いようです。
また企業規模が大きくなればなるほど従業員の雇用形態や労働形態が複雑になる上、高いコンプライアンスを求められることから、大企業を中心に既存システムでは対応しきれなくなるケースも散見されます。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「高いカスタマイズ性」を持つ勤怠管理システム。既存システムの機能では解決できない以上、自社仕様に機能を開発/調整してもらうほかありません。
このようなシステムを導入するにあたっては、細かいヒアリングを行った後、エンジニアが機能を調整してくれるため、痒い所に手が届くシステムになるでしょう。その分、既存のシステムよりもコストがかかりますが、従業員規模1,000名~といった大企業であれば 費用感は合うはずです。
機能の充実した勤怠管理システムを入れてはみたものの、運用を始めてみるとあまり使っていない機能があることに気が付くケースです。複雑な機能を用いて厳密に管理を行うというよりかは、選び抜いた機能だけのシンプルで低コストなシステムに乗り換えたいとお考えの中小企業も多いでしょう。
従業員からも、管理者からも直感的に使えないとの声が上がったり、実際にエラーが頻出しているケースもあるようです。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「機能を選んでコスパ良く使える」勤怠管理システム。「出勤管理機能」「休日申請機能」だけで良い企業もあれば、「シフト管理機能」も欲しい企業もあるでしょう。
企業の規模や労務管理の方法などによって、欲しい機能は異なるのが普通。機能を厳選することで、従業員にとってもシンプルで使いやすく、経営者にとってもコスパの良いシステムとなるのです。
事業の拡大に伴って従業員は増えるものの、労務管理を行う人数は増えていかず、管理する現場では負担が増える一方。既存のシステムでは勤怠とその他バックオフィスシステムを別々に導入しているため、うまく連携できていないという課題を持つ企業もいらっしゃることでしょう。
ベンチャー企業などにおいては、上場を視野に入れてバックオフィス業務を一気に統制していきたいというケースもあるようです。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「バックオフィス業務を一元管理できる」勤怠管理システム。「勤怠管理」だけでなく「給与」「会計」「経費」「人事管理」など、複数のバックオフィスシステムを展開しているシステムから、自社が必要なシステムを組み合わせて乗り換えると良いでしょう。
当然連携することを前提に開発されている為「リアルタイムでの数値同期」などで税理士との連携を行いながら、より効率的にバックオフィス業務を遂行することが可能です。