みなし残業(固定残業代)制度とは、あらかじめ一定時間分の時間外労働に対する手当を給与に含めて支給する仕組みです。たとえば月30時間分の固定残業代を含むと定める場合、その範囲内の残業代は毎月固定で支払われます。
ただし、固定残業代を支払っているからといって、実際の労働時間を管理しなくてよいわけではありません。みなし時間を超えて働いた場合は、超過分の割増賃金を別途支払う必要があります。
みなし残業は、一定時間分の残業代をあらかじめ支給する制度です。しかし、実際の残業時間がみなし時間を超えた場合は、超過分の割増賃金を追加で支払う必要があります。
この点を誤解すると、固定残業代を払っているから追加支給は不要と判断してしまい、未払いリスクが生じます。制度を正しく運用するには、毎月の実残業時間を集計し、固定残業時間との差分を確認することが欠かせません。
みなし残業と、事業場外労働のみなし労働時間制や裁量労働制は混同されやすい制度です。固定残業代は給与の支払い方法に関する考え方であり、実労働時間の把握義務がなくなるものではありません。
みなし労働時間制は一定の要件を満たす業務に限って、あらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。一般的な固定残業代制度では、勤怠記録に基づく残業時間の確認が必要です。
みなし残業制度で問題になりやすいのは、制度そのものではなく、運用があいまいなまま続いているケースです。固定残業代の対象時間が明確でない、基本給と固定残業代の内訳が分かりにくい、超過分の計算方法が定まっていないと、従業員との認識差が生まれます。
また、勤怠管理がExcelや手作業中心の場合、残業時間の集計漏れや割増率の誤りが起こりやすくなります。深夜労働、休日労働、月60時間超の時間外労働などが絡むと、単純な残業時間だけでは正しい割増賃金を計算できません。
固定残業時間を超えたかどうかは、毎月の実残業時間を正しく集計しなければ分かりません。月末に手作業で確認していると、超過分の発見が遅れることがあります。
見逃しが続くと、未払い賃金が積み上がり、後からまとめて対応が必要になる可能性があります。管理者が日中の残業状況を把握し、従業員本人も自分の残業時間を確認できる状態にしておくことが重要です。
固定残業代の管理では、単に残業時間が何時間かを見るだけでは不十分です。深夜労働、法定休日労働、月60時間を超える時間外労働では、適用すべき割増率が異なる場合があります。
手計算やExcelで管理していると、割増率の設定漏れや条件分岐のミスが起こりやすくなります。勤怠管理システムで勤務区分ごとに自動集計できれば、確認作業の負担を減らしながら計算精度を高められます。
管理者が固定残業時間までは働かせても問題ないと誤解すると、長時間労働が常態化するおそれがあります。みなし残業は、一定時間の残業を推奨する制度ではありません。
固定残業時間は給与計算上の設定であり、労働時間管理や健康管理は別に必要です。残業が増えている部署や従業員を早めに把握し、業務配分や人員配置を見直しましょう。
みなし残業制度を適切に運用するには、労働条件の明示と勤怠データの正確な集計が必要です。基本給、固定残業代、固定残業時間、超過分の支払い方法を明確にし、従業員が内容を理解できる状態にしておきましょう。
そのうえで、毎月の勤怠データから、所定労働時間、法定時間外労働、深夜労働、休日労働、休憩時間を集計します。固定残業時間との差分を自動で確認できる仕組みがあれば、給与計算前のチェックが効率化されます。
固定残業代を運用する際は、何時間分の残業代なのか、いくらが固定残業代なのかを明確にする必要があります。基本給と固定残業代が区別できないと、計算根拠が不透明な制度になってしまいます。
従業員への説明資料、雇用契約書、給与明細などで内訳を分かりやすく示しましょう。制度内容が明確であれば、超過分の計算や問い合わせ対応もしやすくなります。
みなし残業制度でも、日々の出退勤、休憩、残業時間を記録する必要があります。月末にまとめて確認するのではなく、日次で残業状況を把握する運用にすると、超過の兆候を早く発見できます。
従業員本人が残業時間を確認できる画面を用意すれば、自己管理にもつながります。管理者もチーム単位で残業状況を見られるようにし、必要に応じて業務調整を行いましょう。
勤怠管理で超過時間を把握しても、給与計算に正しく反映されなければ意味がありません。固定残業時間を超えた時間、深夜、休日などを区分し、給与計算へ連携できるデータとして出力する必要があります。
勤怠管理システムと給与計算システムを連携すれば、転記ミスや計算漏れを減らせます。CSV連携の場合でも、項目名、締め日、計算対象期間、修正期限を決めておくことが大切です。
みなし残業制度を安全に運用するには、勤怠管理システムの自動集計機能が役立ちます。従業員ごとに固定残業時間を登録し、実残業時間がその時間を超えた場合に自動で超過分を算出できれば、手作業による確認を大きく減らせます。
残業時間が一定ラインに近づいた時点でアラートを出す機能があれば、給与計算後に気づくのではなく勤務月の途中で対策できます。法令遵守だけでなく、長時間労働の抑制や管理者の意識改善にもつながります。
固定残業時間は、職種、雇用形態、等級、契約内容によって異なる場合があります。勤怠管理システムでは、従業員ごとに固定残業時間と対象条件を設定できるかを確認しましょう。
一律設定しかできない場合、例外処理が増えて手作業が残ります。入社、異動、契約変更があったときに設定を更新しやすいかも重要です。人事情報と連動できれば、メンテナンスの負担を減らせます。
月末に超過が確定してから対応するのでは、残業抑制や業務調整が間に合いません。残業時間が固定残業時間に近づいた段階で、管理者と本人へ通知する仕組みがあると有効です。
固定残業時間の80%到達時、100%到達時、36協定の上限接近時などにアラートを出せます。早めに把握できれば、業務配分の見直しや休暇取得の調整につなげやすくなります。
みなし残業の超過分は、通常の時間外労働だけでなく、深夜労働や休日労働の区分も踏まえて計算する必要があります。システムで割増率ごとの時間を自動集計できれば、給与計算前の確認が容易になります。
手作業で集計していると、勤務区分の見落としや計算式の誤りが発生しやすくなります。自動集計後も最終確認は必要ですが、確認すべきポイントが絞られるため、担当者の負担を軽減できます。
まずは、自社の固定残業代制度の内容を棚卸ししましょう。固定残業時間、固定残業代の金額、対象となる手当、超過分の支払いルール、給与明細の表示方法を確認します。制度内容と実際の勤怠管理が一致しているかを見ることが第一歩です。
次に、勤怠データの集計方法を確認します。Excelで集計している場合は、残業時間の計算列、深夜や休日の区分、給与計算への転記ミスがないかを点検します。属人化している場合は、システム化の優先度が高いといえます。
固定残業代制度の内容と、勤怠管理システムの設定がずれていると、正しい集計ができません。まずは契約書や就業規則の内容と、システム上の残業集計条件を照合しましょう。
固定残業時間、所定労働時間、休憩控除、休日区分、深夜時間帯などを確認します。制度変更や就業規則改定があった場合は、勤怠設定も更新する必要があります。
給与計算前には、固定残業時間を超えた従業員、深夜・休日労働がある従業員、打刻修正が未承認の従業員を確認します。チェックリスト化すれば、確認漏れを防ぐ標準業務として運用できます。
担当者ごとに確認方法が違うと、処理品質にばらつきが出ます。システムのアラートや一覧出力を活用し、誰が担当しても同じ観点で確認できるようにしましょう。
みなし残業(固定残業代)制度は、給与計算を安定させる一方で、運用を誤ると未払い残業代や長時間労働のリスクにつながります。固定残業代を支払っていても、実労働時間の把握と、みなし時間を超えた分の割増賃金計算は必要です。
正しい運用には、制度内容の明確化、日次の勤怠把握、超過見込みアラート、割増賃金の自動集計、給与計算との連携が欠かせません。勤怠管理システムを活用し、超過分を自動で見える化することで、担当者の負担を減らしながら法令遵守に強い運用を実現できます。
ここでは、勤怠管理システムの導入にあたってよくある3つの課題ごとに、それぞれオススメのシステムを紹介します。
※引用元:キンタイミライ公式HP
(https://kintaimirai.jp/)
タップすると各機能の説明が表示されます
「時間帯ごとの要員数」と「人件費予算」を同時に確認しながら、シフトの登録・調整を実施
1ヵ月60時間を超える時間外労働について、代替休暇を取得
指定した起算日に基づき、4週4休のチェックを実施し、必要に応じて休日出勤を割り当て
社会保険・36協定・長時間労働に関して、指定したルールに基づきアラート
振替出勤が発生してから指定期間が経過すると、休日出勤の割増賃金対象の時間数として自動精算
その企業固有の集計方法をきめ細かに設定し、集計を自動化
集計結果を含んだ出勤簿をPDF形式で出力
日々の勤務実績に基づく人件費を計算し、締め日を待たずして人件費を把握可能
従業員のマスタ情報を1ヶ月単位で管理できるほか、CSV形式で一括して取得/編集/登録も可能
社員やバイト、パートといった従業員の属性別にカレンダーを設定できるほか、まるめ・集計機能との連動も可能
登録されたシフトに基づいて、遅刻早退を自動で判定
売上や生産高、処理量などの成果を入力し、その成果と勤務実績を対比させて、折れ線グラフで表示
※引用元:ジョブカン勤怠管理 公式HP
(https://jobcan.ne.jp/)
タップすると各機能の説明が表示されます
リアルタイムでスタッフの勤務状況の確認や拠点ごとの勤怠管理が可能
直感的な画面操作で簡単にシフトを申請・作成が可能
出勤管理機能やシフト管理機能と連動し、複雑な休暇管理を簡単に実施
スマホやタブレットでも、打刻・閲覧・各種申請などが可能
スタッフやタスクごとの工数集計やデータ出力・分析が可能
スタッフの勤務状況を自動集することが可能
時間外労働状を一覧で確認でき、36協定超過がある際は自動アラートでお知らせ
画面上の言語は、英語、韓国語、スペイン語、タイ語、中国語(簡体字・繁体字)、ベトナム語への切り替えが可能
医療現場の勤務形態に合わせた運用が可能
※引用元:マネーフォワード クラウド勤怠 公式HP
(https://biz.moneyforward.com/attendance/)
タップすると各機能の説明が表示されます
日次勤怠、勤怠確認、分析レポート、拠点別打刻集計、カスタム自動集計(数値集計)
役職階層、ワークフロー経路、申請ワークフロー、代理申請ワークフロー、受信ワークフロー
異動予約(役職)一覧、異動予約(就業ルール)一覧
有給休暇の自動付与、有給休暇付与予定一覧、有給休暇管理簿
不正な打刻・打刻漏れ、許可されていない打刻、無効な勤務パターン
打刻ごとの丸め設定、出勤・退勤・休憩の丸め設定、勤怠項目ごとの丸め設定、日ごと・月ごとの丸め設定、未申請の丸め設定、シフト範囲外打刻の丸め設定
従業員データ、日次勤怠データ、有給休暇利用実績、休暇付与データなどのインポート
従業員データ、月別データ、出勤簿データ、出勤簿データ、1ヶ月のシフト表、時間帯別のシフト表などのエクスポート
シフト管理、操作権限設定、ワークフロー通知、マネーフォワード クラウド給与との連携
※選定基準:
・キンタイミライ:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、本番開発前のプロトタイプ開発および導入後の無料調整を唯一行っているシステムとして選出(2023年5月16日調査時点)。
・ジョブカン勤怠管理:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、必要な機能を選んで価格が決まる製品で、機能が200種類と最も多い (2023年5月16日調査時点)。
・マネーフォワード クラウド勤怠:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、一元管理できるバックオフィス業務のシステムが最も多い(2023年5月16日調査時点)。
ここでは、勤怠管理システムを乗り換えるにあたってよくある3つの課題ごとに、それぞれどういう基準でシステムを選ぶべきかを解説いたします。
既存のシステムでは自社のルールに合った管理でができておらず、手作業が発生しているなど、今のシステムに課題を抱えている企業もたくさんいらっしゃることでしょう。ホテル、運輸・倉庫、小売り、飲食といった、一般的なオフィスワーカーとは異なる勤務体系の業種に多いようです。
また企業規模が大きくなればなるほど従業員の雇用形態や労働形態が複雑になる上、高いコンプライアンスを求められることから、大企業を中心に既存システムでは対応しきれなくなるケースも散見されます。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「高いカスタマイズ性」を持つ勤怠管理システム。既存システムの機能では解決できない以上、自社仕様に機能を開発/調整してもらうほかありません。
このようなシステムを導入するにあたっては、細かいヒアリングを行った後、エンジニアが機能を調整してくれるため、痒い所に手が届くシステムになるでしょう。その分、既存のシステムよりもコストがかかりますが、従業員規模1,000名~といった大企業であれば 費用感は合うはずです。
機能の充実した勤怠管理システムを入れてはみたものの、運用を始めてみるとあまり使っていない機能があることに気が付くケースです。複雑な機能を用いて厳密に管理を行うというよりかは、選び抜いた機能だけのシンプルで低コストなシステムに乗り換えたいとお考えの中小企業も多いでしょう。
従業員からも、管理者からも直感的に使えないとの声が上がったり、実際にエラーが頻出しているケースもあるようです。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「機能を選んでコスパ良く使える」勤怠管理システム。「出勤管理機能」「休日申請機能」だけで良い企業もあれば、「シフト管理機能」も欲しい企業もあるでしょう。
企業の規模や労務管理の方法などによって、欲しい機能は異なるのが普通。機能を厳選することで、従業員にとってもシンプルで使いやすく、経営者にとってもコスパの良いシステムとなるのです。
事業の拡大に伴って従業員は増えるものの、労務管理を行う人数は増えていかず、管理する現場では負担が増える一方。既存のシステムでは勤怠とその他バックオフィスシステムを別々に導入しているため、うまく連携できていないという課題を持つ企業もいらっしゃることでしょう。
ベンチャー企業などにおいては、上場を視野に入れてバックオフィス業務を一気に統制していきたいというケースもあるようです。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「バックオフィス業務を一元管理できる」勤怠管理システム。「勤怠管理」だけでなく「給与」「会計」「経費」「人事管理」など、複数のバックオフィスシステムを展開しているシステムから、自社が必要なシステムを組み合わせて乗り換えると良いでしょう。
当然連携することを前提に開発されている為「リアルタイムでの数値同期」などで税理士との連携を行いながら、より効率的にバックオフィス業務を遂行することが可能です。