勤怠管理システムの導入には、大きく分けて「初期費用」と「ランニングコスト(月額料金)」の2つが必要となります。これらの費用は、システムの種類(クラウド型・オンプレミス型)や企業の規模、利用したい機能によって大きく変動します。
勤怠管理システムの初期費用は、導入形態によって大きく異なります。自社にサーバーを設置するオンプレミス型の場合、機器の購入やシステム構築が必要となるため、初期費用は約100万円以上となることが多いです。一方、インターネット経由で利用するクラウド型の場合は、初期費用が0円から50万円程度に収まるのが一般的です。
クラウド型で初期費用に大きな幅があるのは、導入時のサポート体制が影響しています。基本設定を自社で行う場合は0円で済むシステムも多いですが、就業規則に合わせた複雑な設定代行や、専任担当者による導入コンサルティングを依頼すると30万〜50万円程度の費用が発生します。
ランニングコストとは、システムを継続して利用するための月額料金のことです。クラウド型の勤怠管理システムの場合、登録する従業員1人あたり月額200円〜500円前後が一般的な相場となっており、人数に応じて料金が変動する「従量課金制」が基本です。
この月額料金は、利用できる機能の多さやサポート窓口の有無によっても変動します。例えば、基本的な打刻機能だけであれば1人あたり200円程度で導入できますが、給与計算システムとの高度な連携や、有給休暇の自動付与機能などを追加すると料金が上がるケースがあります。
1人あたりの単価が安いクラウド型システムですが、導入検討時に見落としがちなのが「最低利用料金」や「最低利用人数」の設定です。「1人あたり300円」と記載されていても、「最低月額料金3,000円から」あるいは「最低10名から」という条件が設定されているケースが多々あります。
そのため、従業員数が数名規模の企業の場合、実際の人数分だけを掛け算した金額よりも月額料金が高くなってしまう可能性があります。システムを比較する際は、単価だけでなく最低利用条件もしっかりと確認することが重要です。
勤怠管理システムの導入にあたって、月額のシステム利用料やアカウント費用ばかりに目が行きがちですが、実はそれ以外にも発生する可能性のあるコストが存在します。予算オーバーを防ぎ、正確な稟議を通すためにも、事前に確認しておくべき周辺コストについて解説します。
クラウド型の勤怠管理システムは、従業員個人のスマートフォンやオフィスのPCから打刻できるのが大きなメリットです。しかし、工場や飲食店、病院など、個人の端末を持ち込めない環境で共用の打刻機を設置したい場合は、専用のハードウェア機器が必要になります。
この場合、ICカードリーダーや専用のタブレット端末、生体認証(指紋や静脈など)の読み取り機器を購入するため、数千円から十数万円の機器代が別途発生します。また、従業員に配布するための専用ICカードを新規発行する場合は、そのカード代(1枚数百円程度)も人数分必要になる点に注意が必要です。
「初期費用0円・月額数百円」と謳っているシステムでも、それはあくまで「システムだけを提供する(設定は自社で行う)場合」の料金であることが多いです。自社の複雑な就業規則や変形労働時間制を正しくシステムに反映させる作業をメーカーに依頼する場合、有償のサポート扱いとなります。
具体的には、導入時の初期設定代行や、現場に運用が定着するまでの数ヶ月間にわたる伴走型のコンサルティング費用として、数万円〜数十万円がシステム利用料とは別に請求されるのが一般的です。また、給与計算ソフトとのAPI連携機能や、過去数年分のデータ保持が「有料オプション」となっているケースもあるため、必要な機能が標準搭載されているか必ず確認しましょう。
勤怠管理システムは毎月コストがかかるものですが、工夫次第で導入時の負担やランニングコストを大きく引き下げることが可能です。ここでは、費用を賢く抑えるための2つのアプローチを紹介します。
中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際、国や自治体の補助金制度を利用できる場合があります。特に勤怠管理システムでよく使われるのが「IT導入補助金」で、労働環境の改善やインボイス制度への対応、業務効率化を目的としたシステム導入を強力に後押ししてくれます。
対象となるシステムやプランを選ぶ必要がありますが、要件を満たしてIT導入補助金を活用すれば、初期費用や一定期間の月額利用料に対して最大半額〜数分の1の補助を受けられるため、大幅なコストダウンが見込めます。導入を検討しているシステムが補助金の対象ツールとして登録されているか、ベンダー(販売元)に事前に確認してみましょう。
システムによっては、「従業員〇名までなら基本機能が完全無料」といったフリーミアム型の料金プランを提供しているものがあります。小規模な企業や、まずはシンプルな打刻と集計だけをシステム化したいという場合は、こうした無料プランからスモールスタートするのも一つの手です。
また、本格導入の前に1ヶ月程度の無料トライアル期間をしっかり活用し、自社の就業規則に合った設定ができるかテストすることも非常に重要です。契約後に「自社の運用に合わなかった」と別のシステムへ乗り換える無駄なコスト(サンクコスト)を防ぐことに直結します。
勤怠管理システムの導入には初期費用や月額料金がかかりますが、単なる「コスト」ではなく、将来的な無駄を省くための「投資」として捉えることが重要です。ここでは、具体的な導入メリットから得られる費用対効果(コスト削減効果)について解説します。
タイムカードやExcelを用いた従来の手作業では、月末月初の人事部門に多大な負担がかかっていました。打刻漏れの確認や残業時間の計算、給与システムへの手入力など、従業員100名規模であれば毎月数十時間もの作業が発生することも珍しくありません。
勤怠管理システムを導入してこれらの業務を自動化すれば、毎月30時間かかっていた集計作業(時給2,000円換算で月6万円の人件費)をほぼゼロにし、システム利用料(月額3〜4万円)を差し引いても毎月数万円のコスト削減が実現できます。
紙のタイムカードでは、従業員同士による代理打刻や、サービス残業の温床となる不正確な記録といった問題が発生しやすくなります。これらは、企業にとって見えない人件費の流出や、従業員のモチベーション低下につながる重大な課題です。
システム化により、GPS連携でのスマートフォン打刻や生体認証を用いた本人確認が可能になります。誰が・どこで・いつ打刻したかが正確に記録されるため、不正な残業代の支払いを防ぎ、適正な労働コストの管理と生産性の向上に大きく貢献します。
近年、労働基準法の改正や「働き方改革関連法」の施行により、企業にはより厳格な労働時間管理が求められています。残業時間の上限規制を超過したり、有給休暇の年5日取得義務を怠ったりすると、企業に重い罰則(罰金)が科されるリスクがあります。
最新の勤怠管理システムには、残業時間の超過アラート機能や、有給休暇の取得状況を可視化する機能が備わっており、法違反による罰則や企業ブランドの失墜といった計り知れない損失を未然に防ぐという、非常に高い費用対効果をもたらします。
導入を検討する際は、自社の規模や必要な機能を考慮し、費用対効果をしっかりと評価することが重要です。しかしさらに重要なのは、自社に合ったシステムを入れるということ。
そこでこのメディアでは、50以上の勤怠管理システムを調査。勤怠管理システム導入後のよくある課題から逆算し、その課題ごとにおすすめのシステムをご紹介しています。
ここでは、勤怠管理システムの導入にあたってよくある3つの課題ごとに、それぞれオススメのシステムを紹介します。
※引用元:キンタイミライ公式HP
(https://kintaimirai.jp/)
タップすると各機能の説明が表示されます
「時間帯ごとの要員数」と「人件費予算」を同時に確認しながら、シフトの登録・調整を実施
1ヵ月60時間を超える時間外労働について、代替休暇を取得
指定した起算日に基づき、4週4休のチェックを実施し、必要に応じて休日出勤を割り当て
社会保険・36協定・長時間労働に関して、指定したルールに基づきアラート
振替出勤が発生してから指定期間が経過すると、休日出勤の割増賃金対象の時間数として自動精算
その企業固有の集計方法をきめ細かに設定し、集計を自動化
集計結果を含んだ出勤簿をPDF形式で出力
日々の勤務実績に基づく人件費を計算し、締め日を待たずして人件費を把握可能
従業員のマスタ情報を1ヶ月単位で管理できるほか、CSV形式で一括して取得/編集/登録も可能
社員やバイト、パートといった従業員の属性別にカレンダーを設定できるほか、まるめ・集計機能との連動も可能
登録されたシフトに基づいて、遅刻早退を自動で判定
売上や生産高、処理量などの成果を入力し、その成果と勤務実績を対比させて、折れ線グラフで表示
※引用元:ジョブカン勤怠管理 公式HP
(https://jobcan.ne.jp/)
タップすると各機能の説明が表示されます
リアルタイムでスタッフの勤務状況の確認や拠点ごとの勤怠管理が可能
直感的な画面操作で簡単にシフトを申請・作成が可能
出勤管理機能やシフト管理機能と連動し、複雑な休暇管理を簡単に実施
スマホやタブレットでも、打刻・閲覧・各種申請などが可能
スタッフやタスクごとの工数集計やデータ出力・分析が可能
スタッフの勤務状況を自動集することが可能
時間外労働状を一覧で確認でき、36協定超過がある際は自動アラートでお知らせ
画面上の言語は、英語、韓国語、スペイン語、タイ語、中国語(簡体字・繁体字)、ベトナム語への切り替えが可能
医療現場の勤務形態に合わせた運用が可能
※引用元:マネーフォワード クラウド勤怠 公式HP
(https://biz.moneyforward.com/attendance/)
タップすると各機能の説明が表示されます
日次勤怠、勤怠確認、分析レポート、拠点別打刻集計、カスタム自動集計(数値集計)
役職階層、ワークフロー経路、申請ワークフロー、代理申請ワークフロー、受信ワークフロー
異動予約(役職)一覧、異動予約(就業ルール)一覧
有給休暇の自動付与、有給休暇付与予定一覧、有給休暇管理簿
不正な打刻・打刻漏れ、許可されていない打刻、無効な勤務パターン
打刻ごとの丸め設定、出勤・退勤・休憩の丸め設定、勤怠項目ごとの丸め設定、日ごと・月ごとの丸め設定、未申請の丸め設定、シフト範囲外打刻の丸め設定
従業員データ、日次勤怠データ、有給休暇利用実績、休暇付与データなどのインポート
従業員データ、月別データ、出勤簿データ、出勤簿データ、1ヶ月のシフト表、時間帯別のシフト表などのエクスポート
シフト管理、操作権限設定、ワークフロー通知、マネーフォワード クラウド給与との連携
※選定基準:
・キンタイミライ:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、本番開発前のプロトタイプ開発および導入後の無料調整を唯一行っているシステムとして選出(2023年5月16日調査時点)。
・ジョブカン勤怠管理:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、必要な機能を選んで価格が決まる製品で、機能が200種類と最も多い (2023年5月16日調査時点)。
・マネーフォワード クラウド勤怠:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、一元管理できるバックオフィス業務のシステムが最も多い(2023年5月16日調査時点)。
ここでは、勤怠管理システムを乗り換えるにあたってよくある3つの課題ごとに、それぞれどういう基準でシステムを選ぶべきかを解説いたします。
既存のシステムでは自社のルールに合った管理でができておらず、手作業が発生しているなど、今のシステムに課題を抱えている企業もたくさんいらっしゃることでしょう。ホテル、運輸・倉庫、小売り、飲食といった、一般的なオフィスワーカーとは異なる勤務体系の業種に多いようです。
また企業規模が大きくなればなるほど従業員の雇用形態や労働形態が複雑になる上、高いコンプライアンスを求められることから、大企業を中心に既存システムでは対応しきれなくなるケースも散見されます。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「高いカスタマイズ性」を持つ勤怠管理システム。既存システムの機能では解決できない以上、自社仕様に機能を開発/調整してもらうほかありません。
このようなシステムを導入するにあたっては、細かいヒアリングを行った後、エンジニアが機能を調整してくれるため、痒い所に手が届くシステムになるでしょう。その分、既存のシステムよりもコストがかかりますが、従業員規模1,000名~といった大企業であれば 費用感は合うはずです。
機能の充実した勤怠管理システムを入れてはみたものの、運用を始めてみるとあまり使っていない機能があることに気が付くケースです。複雑な機能を用いて厳密に管理を行うというよりかは、選び抜いた機能だけのシンプルで低コストなシステムに乗り換えたいとお考えの中小企業も多いでしょう。
従業員からも、管理者からも直感的に使えないとの声が上がったり、実際にエラーが頻出しているケースもあるようです。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「機能を選んでコスパ良く使える」勤怠管理システム。「出勤管理機能」「休日申請機能」だけで良い企業もあれば、「シフト管理機能」も欲しい企業もあるでしょう。
企業の規模や労務管理の方法などによって、欲しい機能は異なるのが普通。機能を厳選することで、従業員にとってもシンプルで使いやすく、経営者にとってもコスパの良いシステムとなるのです。
事業の拡大に伴って従業員は増えるものの、労務管理を行う人数は増えていかず、管理する現場では負担が増える一方。既存のシステムでは勤怠とその他バックオフィスシステムを別々に導入しているため、うまく連携できていないという課題を持つ企業もいらっしゃることでしょう。
ベンチャー企業などにおいては、上場を視野に入れてバックオフィス業務を一気に統制していきたいというケースもあるようです。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「バックオフィス業務を一元管理できる」勤怠管理システム。「勤怠管理」だけでなく「給与」「会計」「経費」「人事管理」など、複数のバックオフィスシステムを展開しているシステムから、自社が必要なシステムを組み合わせて乗り換えると良いでしょう。
当然連携することを前提に開発されている為「リアルタイムでの数値同期」などで税理士との連携を行いながら、より効率的にバックオフィス業務を遂行することが可能です。