2025年は改正育児・介護休業法が4月と10月に段階施行され、企業には育児・介護と仕事を両立するための制度整備が求められました。さらに、労働時間や休日のルールについても、連続勤務の上限、勤務間インターバル、法定休日の特定など、今後の労働基準関係法制を見直す議論が続いています。
法改正への対応は、就業規則を書き換えるだけでは完了しません。従業員ごとに異なる勤務条件を正しく設定し、実績を集計し、違反の兆候を事前に把握できる仕組みが必要です。本記事では、2026年7月時点の施行済み事項と検討中の論点を分けたうえで、勤怠管理の実務対応を解説します。
2025年4月には、子の看護等休暇の対象拡大、所定外労働の制限対象の拡大、育児・介護のためのテレワーク導入の努力義務などが施行されました。介護分野では、制度を利用しやすい雇用環境の整備や、介護に直面した従業員への個別周知・意向確認も義務化されています。
勤怠管理では、休暇の対象者・取得単位・除外条件を制度どおりに設定することが基本です。従業員の子の年齢や家族の介護状況に応じて利用資格が変わるため、申請受付時だけでなく、基準日到来時に対象者を抽出できる仕組みが役立ちます。
3歳から小学校就学前の子を養育する従業員に対し、企業は始業時刻等の変更、月10日以上利用できるテレワーク等、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇、短時間勤務制度の5項目から2つ以上を用意しなければなりません。対象者は、その中から1つを選択して利用できます。
この制度では、同じ部署でも従業員ごとに所定時間や勤務場所が異なる状態が日常化します。勤怠システムには個人別の勤務区分、有効期間、曜日別所定時間、テレワーク日数、休暇残数を一体で管理できることが求められます。
労働基準関係法制研究会の報告書では、休日労働を含めて13日を超える連続勤務をさせない方向性や、勤務間インターバル、法定休日の特定などが論点になりました。ただし、2026年7月時点では、いわゆる「14日連続勤務禁止」が一律に施行されたわけではなく、労働政策審議会などで検討が続いています。
人事労務は、確定した法令と検討段階の論点を分けて管理する必要があります。未確定の内容を就業規則へ断定的に反映するのではなく、システムで警告値を仮設定し、法案成立後に閾値や例外条件を変更できる準備を進めるのが現実的です。
時短勤務、時差出勤、フレックス、テレワーク、養育両立支援休暇が併存すると、所定労働時間や休憩、残業の起算方法が従業員ごとに変わります。表計算ソフトでの管理は、設定変更の転記漏れや古い条件の残存を招きやすく、給与計算にも影響します。
必要なのは、制度の適用開始日と終了日を履歴として残す機能です。子が対象年齢を外れたとき、本人が選択する措置を変更したとき、雇用区分や所属が変わったときにも、過去の集計を崩さず将来の勤務条件だけを更新できる設計が適しています。
連続勤務は、月をまたぐシフトや休日出勤、他部署への応援勤務が重なると見落とされやすくなります。月次締めの段階で発覚しても、すでに勤務は終わっています。健康確保の観点では、シフト確定前と勤務実績の発生時に確認する二段構えが重要です。
勤怠システムでは、月をまたいだ連続勤務日数をリアルタイムで数えることが必要です。予定段階で管理者へ警告し、休日出勤申請時には直近と今後の勤務を再判定することで、代休予定の登録だけで実際の休日確保が漏れる事態を防ぎやすくなります。
在宅勤務であっても労働関係法令は適用されるため、始業・終業、休憩、中抜け、時間外労働を把握する必要があります。チャットのログイン状態だけを労働時間とみなすのではなく、本人の打刻、申請、承認と、PCログなどの客観記録を照合できる運用が望まれます。
打刻とPC稼働記録の差異を例外として抽出すると、サービス残業や打刻忘れの早期発見に役立ちます。ただし、常時監視と受け取られないよう、取得するデータ、利用目的、閲覧権限、保存期間を就業規則や社内ルールで明確にしておきましょう。
勤務制度の名称を登録できるだけでは不十分です。曜日別の所定時間、コアタイム、休憩、残業申請の要否、テレワーク可能日数、休暇付与数などを個人またはグループ単位で設定し、対象期間に応じて自動適用できるか確認しましょう。
選定時は、年齢・家族情報などを起点に対象者を抽出できるかも重要です。人事システムと連携して対象者を把握できれば、制度の個別周知、利用意向の確認、設定変更までを同じ名簿に基づいて進められ、対応漏れを抑えられます。
残業時間だけでなく、連続勤務日数、勤務間の休息時間、休憩不足、未打刻、テレワーク利用日数、休暇残数などを監視できると、法令対応と健康管理を両立しやすくなります。警告は締め日後ではなく、超過前に届くことが大切です。
注意・警告・申請停止の段階別ルールを設定できると、現場が動きやすくなります。本人、直属上司、人事へ通知するタイミングを分け、例外勤務には理由入力と上位承認を求めれば、単にアラートを出すだけでなく是正まで追跡できます。
法改正対応では、誰が、いつ、どの勤務条件を選択し、誰が承認したかを説明できることが重要です。申請書を別管理すると、勤怠実績との対応関係が分かりにくくなります。制度利用申請、勤務予定、打刻修正、残業申請を関連付けて保存できる製品が便利です。
設定変更についても、変更前後の値と操作者を消せない履歴として残すことがポイントです。行政調査や社内監査の際に、当時適用されていた規則と実績を再現できるよう、データの保存期間、出力形式、アクセス権限も確認してください。
最初に、就業規則、育児・介護休業規程、労使協定、申請書、勤怠システムの設定を並べて確認します。「規程にはあるが申請区分がない」「対象者を手作業で探している」など、制度と実装の差を一覧化すると優先順位が明確になります。
対象者・開始条件・終了条件・集計方法・承認者の5項目で棚卸しすると、設定漏れを発見しやすくなります。法務や社会保険労務士が制度を確認し、人事、給与、情報システム、現場管理者が運用を確認する横断チームで進めましょう。
設定後は、時短勤務者、シフト勤務者、月途中で制度を開始する人、テレワークと出社を併用する人など複数のケースでテストします。勤怠集計だけでなく、給与計算、残業単価、休暇残数、アラート、帳票まで一連の結果を確認してください。
本稼働後も、法令情報と自社データを四半期ごとに点検する運用が有効です。連続勤務や長時間労働の発生部署、申請差戻しの多い制度を可視化し、設定変更、管理職教育、要員配置の見直しへつなげることで、法改正に強い勤怠管理になります。
2025年の育児・介護休業法改正はすでに施行され、個人別の柔軟な働き方を正確に管理する体制が必要です。一方、連続勤務規制や勤務間インターバルなどは2026年7月時点で検討中であり、確定事項と将来論点を混同しないことが大切です。
今のうちに個人別設定、日付をまたぐ連続勤務判定、事前アラート、申請・変更履歴、外部システム連携を整えておけば、制度変更後も慌てず対応できます。法改正をきっかけに、締め後の集計中心から、問題を起こさない予防型の勤怠管理へ移行しましょう。
ここでは、勤怠管理システムの導入にあたってよくある3つの課題ごとに、それぞれオススメのシステムを紹介します。
※引用元:キンタイミライ公式HP
(https://kintaimirai.jp/)
タップすると各機能の説明が表示されます
「時間帯ごとの要員数」と「人件費予算」を同時に確認しながら、シフトの登録・調整を実施
1ヵ月60時間を超える時間外労働について、代替休暇を取得
指定した起算日に基づき、4週4休のチェックを実施し、必要に応じて休日出勤を割り当て
社会保険・36協定・長時間労働に関して、指定したルールに基づきアラート
振替出勤が発生してから指定期間が経過すると、休日出勤の割増賃金対象の時間数として自動精算
その企業固有の集計方法をきめ細かに設定し、集計を自動化
集計結果を含んだ出勤簿をPDF形式で出力
日々の勤務実績に基づく人件費を計算し、締め日を待たずして人件費を把握可能
従業員のマスタ情報を1ヶ月単位で管理できるほか、CSV形式で一括して取得/編集/登録も可能
社員やバイト、パートといった従業員の属性別にカレンダーを設定できるほか、まるめ・集計機能との連動も可能
登録されたシフトに基づいて、遅刻早退を自動で判定
売上や生産高、処理量などの成果を入力し、その成果と勤務実績を対比させて、折れ線グラフで表示
※引用元:ジョブカン勤怠管理 公式HP
(https://jobcan.ne.jp/)
タップすると各機能の説明が表示されます
リアルタイムでスタッフの勤務状況の確認や拠点ごとの勤怠管理が可能
直感的な画面操作で簡単にシフトを申請・作成が可能
出勤管理機能やシフト管理機能と連動し、複雑な休暇管理を簡単に実施
スマホやタブレットでも、打刻・閲覧・各種申請などが可能
スタッフやタスクごとの工数集計やデータ出力・分析が可能
スタッフの勤務状況を自動集することが可能
時間外労働状を一覧で確認でき、36協定超過がある際は自動アラートでお知らせ
画面上の言語は、英語、韓国語、スペイン語、タイ語、中国語(簡体字・繁体字)、ベトナム語への切り替えが可能
医療現場の勤務形態に合わせた運用が可能
※引用元:マネーフォワード クラウド勤怠 公式HP
(https://biz.moneyforward.com/attendance/)
タップすると各機能の説明が表示されます
日次勤怠、勤怠確認、分析レポート、拠点別打刻集計、カスタム自動集計(数値集計)
役職階層、ワークフロー経路、申請ワークフロー、代理申請ワークフロー、受信ワークフロー
異動予約(役職)一覧、異動予約(就業ルール)一覧
有給休暇の自動付与、有給休暇付与予定一覧、有給休暇管理簿
不正な打刻・打刻漏れ、許可されていない打刻、無効な勤務パターン
打刻ごとの丸め設定、出勤・退勤・休憩の丸め設定、勤怠項目ごとの丸め設定、日ごと・月ごとの丸め設定、未申請の丸め設定、シフト範囲外打刻の丸め設定
従業員データ、日次勤怠データ、有給休暇利用実績、休暇付与データなどのインポート
従業員データ、月別データ、出勤簿データ、出勤簿データ、1ヶ月のシフト表、時間帯別のシフト表などのエクスポート
シフト管理、操作権限設定、ワークフロー通知、マネーフォワード クラウド給与との連携
※選定基準:
・キンタイミライ:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、本番開発前のプロトタイプ開発および導入後の無料調整を唯一行っているシステムとして選出(2023年5月16日調査時点)。
・ジョブカン勤怠管理:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、必要な機能を選んで価格が決まる製品で、機能が200種類と最も多い (2023年5月16日調査時点)。
・マネーフォワード クラウド勤怠:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、一元管理できるバックオフィス業務のシステムが最も多い(2023年5月16日調査時点)。
ここでは、勤怠管理システムを乗り換えるにあたってよくある3つの課題ごとに、それぞれどういう基準でシステムを選ぶべきかを解説いたします。
既存のシステムでは自社のルールに合った管理でができておらず、手作業が発生しているなど、今のシステムに課題を抱えている企業もたくさんいらっしゃることでしょう。ホテル、運輸・倉庫、小売り、飲食といった、一般的なオフィスワーカーとは異なる勤務体系の業種に多いようです。
また企業規模が大きくなればなるほど従業員の雇用形態や労働形態が複雑になる上、高いコンプライアンスを求められることから、大企業を中心に既存システムでは対応しきれなくなるケースも散見されます。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「高いカスタマイズ性」を持つ勤怠管理システム。既存システムの機能では解決できない以上、自社仕様に機能を開発/調整してもらうほかありません。
このようなシステムを導入するにあたっては、細かいヒアリングを行った後、エンジニアが機能を調整してくれるため、痒い所に手が届くシステムになるでしょう。その分、既存のシステムよりもコストがかかりますが、従業員規模1,000名~といった大企業であれば 費用感は合うはずです。
機能の充実した勤怠管理システムを入れてはみたものの、運用を始めてみるとあまり使っていない機能があることに気が付くケースです。複雑な機能を用いて厳密に管理を行うというよりかは、選び抜いた機能だけのシンプルで低コストなシステムに乗り換えたいとお考えの中小企業も多いでしょう。
従業員からも、管理者からも直感的に使えないとの声が上がったり、実際にエラーが頻出しているケースもあるようです。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「機能を選んでコスパ良く使える」勤怠管理システム。「出勤管理機能」「休日申請機能」だけで良い企業もあれば、「シフト管理機能」も欲しい企業もあるでしょう。
企業の規模や労務管理の方法などによって、欲しい機能は異なるのが普通。機能を厳選することで、従業員にとってもシンプルで使いやすく、経営者にとってもコスパの良いシステムとなるのです。
事業の拡大に伴って従業員は増えるものの、労務管理を行う人数は増えていかず、管理する現場では負担が増える一方。既存のシステムでは勤怠とその他バックオフィスシステムを別々に導入しているため、うまく連携できていないという課題を持つ企業もいらっしゃることでしょう。
ベンチャー企業などにおいては、上場を視野に入れてバックオフィス業務を一気に統制していきたいというケースもあるようです。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「バックオフィス業務を一元管理できる」勤怠管理システム。「勤怠管理」だけでなく「給与」「会計」「経費」「人事管理」など、複数のバックオフィスシステムを展開しているシステムから、自社が必要なシステムを組み合わせて乗り換えると良いでしょう。
当然連携することを前提に開発されている為「リアルタイムでの数値同期」などで税理士との連携を行いながら、より効率的にバックオフィス業務を遂行することが可能です。