「管理職は残業代の対象外だから、勤怠管理をしなくてもよい」と考えていないでしょうか。労働基準法上の管理監督者は、労働時間・休憩・休日に関する規定の一部が適用されない一方で、健康確保のための労働時間の状況把握は必要です。また、会社で管理職と呼ばれていても、法律上の管理監督者に該当するとは限りません。
管理監督者の勤怠管理では、賃金計算のための労働時間管理と、長時間労働を防ぎ健康を守るための状況把握を区別することが重要です。この記事では、一般社員との違い、管理監督者の判断基準、勤怠システムを使った記録・確認方法を解説します。
管理監督者であっても、勤怠管理を一切しなくてよいわけではありません。労働基準法上、管理監督者には労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されない場合がありますが、健康確保の観点から労働時間の状況を把握する必要があります。時間外労働の割増賃金の計算対象かどうかと、長時間労働を把握し健康障害を防止する必要があるかどうかは、別々に考えましょう。厚生労働省は、管理監督者も含めた労働者の労働時間の状況把握について、タイムカードやPC使用記録など客観的な方法を示しています。
「労働時間の状況」は、賃金計算に用いる労働時間と同じ意味で機械的に扱うのではなく、労働者の健康確保のため、どの時間帯にどの程度働いていたかを把握するものです。出退勤の時刻だけでなく、時間外の業務や休日の対応、深夜勤務など、働き方の実態を把握できる情報が必要です。記録は健康確保措置や長時間労働の予防に活用できる形で保存し、必要な担当者が確認できるようにします。役職者本人の申告だけに頼るのではなく、客観記録との照合も組み合わせると実態との差を見つけやすくなります。
管理監督者に該当する場合、労働時間・休憩・休日の規定の適用が異なりますが、すべての労働条件が免除されるわけではありません。例えば、深夜労働に対する割増賃金など、管理監督者にも適用される規定があります。労働時間の状況把握や健康確保の措置も別途求められます。そのため「管理監督者だから残業代も勤怠記録も不要」と一括りにするのではなく、どの規定が適用されるのかを整理する必要があります。賃金制度、深夜勤務の取扱い、健康管理の手順をそれぞれ確認し、従業員への説明も整えておきましょう。
部長、課長、店長などの肩書があるだけで、法律上の管理監督者になるわけではありません。管理監督者に該当するかは、職務内容や責任・権限、勤務時間に関する裁量、待遇などを踏まえて実態から判断されます。採用や人事、部門運営にどの程度関与しているか、出退勤の自由があるか、一般社員と比べた賃金や手当がどうなっているかなど、複数の事情を確認することが重要です。会社の役職一覧だけで判断せず、対象者ごとに職務の実態を整理し、判断の根拠を説明できるようにしておきましょう。
労働時間の状況は、タイムカードやICカード、パソコンのログなど客観的な記録を基本に把握します。勤怠システムへの打刻とPCのログに大きな差があれば、退勤後の業務や打刻漏れがないか確認できます。ただし、PCの利用時間だけで実際の労働時間すべてを判断できるとは限りません。会議、顧客対応、現場巡回、移動中の業務など、PCを使わない仕事もあるためです。職務の特性に合わせて複数の記録を活用し、差がある場合に本人や上司へ確認する手順を設けると、記録を健康管理に活かしやすくなります。
直行直帰や外出が多く、客観的な記録だけでは働き方を把握しにくい場合には、自己申告を組み合わせる方法があります。その場合は、申告方法や対象時間、申告後の確認方法を明確にし、過少申告につながる圧力が生じないよう管理者にも説明します。申告された時間と入退館記録、PCログ、業務報告などを必要に応じて照合し、実態との差が見つかったときは原因を確認します。自己申告を採用したら終わりではなく、申告が適切に行われているか定期的に点検することが、健康確保のための把握を形だけにしないポイントです。
勤怠システムでは、管理監督者の労働条件に合った区分を設けながら、出退勤や働いた状況の記録を残します。一般社員と同じ残業時間の計算ルールを適用しない場合でも、打刻データを取得し、日ごとの勤務状況を確認できる設定にします。管理者が部下の勤怠を承認する機能や、本人が記録を確認・修正申請できる機能も活用できます。システム上の区分名だけで管理監督者と判断してしまわないよう、対象者の見直し手順も用意しましょう。異動や職務変更があった場合には、管理監督者性の判断と勤怠設定をあわせて確認します。
勤怠システムにアラート機能がある場合は、一定時間を超えたときに本人や上司、人事担当者へ通知する設定を検討します。通知を受け取るだけでなく、業務量の調整、休息の確保、産業医への相談など、具体的な対応につなげることが大切です。管理監督者本人が部下の管理も担う場合は、自分の長時間労働を申告しにくいこともあるため、上位者や人事部門が状況を確認する仕組みが有効です。記録を定期的に振り返り、特定の部署や時期に勤務が集中していないかも確認しましょう。
残業代の計算方法が一般社員と異なることを理由に、出退勤の記録を省略するのは適切ではありません。労働時間の状況を把握し、長時間労働による健康リスクを早期に確認する必要があるからです。打刻を求める目的を賃金計算だけに限定せず、本人の健康確保や業務量の見直しに使うと説明すれば、管理監督者にも制度の意義を理解してもらいやすくなります。記録を取る場合は、一般社員向けの残業申請・承認ルールをそのまま適用するのではなく、管理監督者向けの確認方法を整理しましょう。
管理職手当を支給していることだけでは、管理監督者に該当するとは限りません。役職名や手当の有無に加えて、経営者と一体的な立場といえる職務・権限があるか、勤務時間に関する裁量があるか、待遇が職責に見合うかなど、実態を総合的に確認します。実態が伴わないまま管理監督者として扱うと、未払い賃金などの問題が生じる可能性があります。対象者の職務記述書や決裁権限、勤務実態、賃金体系を整理し、判断に迷う場合は専門家へ相談してください。
管理監督者の勤怠管理では、労基法上の労働時間規制の扱いと、健康確保のための労働時間の状況把握を混同しないことが重要です。役職名だけで対象者を決めず、職務や権限、勤務の裁量、待遇を実態に沿って確認しましょう。そのうえで、客観的な記録を中心に労働時間の状況を把握し、長時間労働の予防や業務量の調整に活用します。勤怠システムの区分やアラートだけで運用を完結させず、記録を確認して必要な対応につなげる体制を整えてください。
ここでは、勤怠管理システムの導入にあたってよくある3つの課題ごとに、それぞれオススメのシステムを紹介します。
※引用元:キンタイミライ公式HP
(https://kintaimirai.jp/)
タップすると各機能の説明が表示されます
「時間帯ごとの要員数」と「人件費予算」を同時に確認しながら、シフトの登録・調整を実施
1ヵ月60時間を超える時間外労働について、代替休暇を取得
指定した起算日に基づき、4週4休のチェックを実施し、必要に応じて休日出勤を割り当て
社会保険・36協定・長時間労働に関して、指定したルールに基づきアラート
振替出勤が発生してから指定期間が経過すると、休日出勤の割増賃金対象の時間数として自動精算
その企業固有の集計方法をきめ細かに設定し、集計を自動化
集計結果を含んだ出勤簿をPDF形式で出力
日々の勤務実績に基づく人件費を計算し、締め日を待たずして人件費を把握可能
従業員のマスタ情報を1ヶ月単位で管理できるほか、CSV形式で一括して取得/編集/登録も可能
社員やバイト、パートといった従業員の属性別にカレンダーを設定できるほか、まるめ・集計機能との連動も可能
登録されたシフトに基づいて、遅刻早退を自動で判定
売上や生産高、処理量などの成果を入力し、その成果と勤務実績を対比させて、折れ線グラフで表示
※引用元:ジョブカン勤怠管理 公式HP
(https://jobcan.ne.jp/)
タップすると各機能の説明が表示されます
リアルタイムでスタッフの勤務状況の確認や拠点ごとの勤怠管理が可能
直感的な画面操作で簡単にシフトを申請・作成が可能
出勤管理機能やシフト管理機能と連動し、複雑な休暇管理を簡単に実施
スマホやタブレットでも、打刻・閲覧・各種申請などが可能
スタッフやタスクごとの工数集計やデータ出力・分析が可能
スタッフの勤務状況を自動集することが可能
時間外労働状を一覧で確認でき、36協定超過がある際は自動アラートでお知らせ
画面上の言語は、英語、韓国語、スペイン語、タイ語、中国語(簡体字・繁体字)、ベトナム語への切り替えが可能
医療現場の勤務形態に合わせた運用が可能
※引用元:マネーフォワード クラウド勤怠 公式HP
(https://biz.moneyforward.com/attendance/)
タップすると各機能の説明が表示されます
日次勤怠、勤怠確認、分析レポート、拠点別打刻集計、カスタム自動集計(数値集計)
役職階層、ワークフロー経路、申請ワークフロー、代理申請ワークフロー、受信ワークフロー
異動予約(役職)一覧、異動予約(就業ルール)一覧
有給休暇の自動付与、有給休暇付与予定一覧、有給休暇管理簿
不正な打刻・打刻漏れ、許可されていない打刻、無効な勤務パターン
打刻ごとの丸め設定、出勤・退勤・休憩の丸め設定、勤怠項目ごとの丸め設定、日ごと・月ごとの丸め設定、未申請の丸め設定、シフト範囲外打刻の丸め設定
従業員データ、日次勤怠データ、有給休暇利用実績、休暇付与データなどのインポート
従業員データ、月別データ、出勤簿データ、出勤簿データ、1ヶ月のシフト表、時間帯別のシフト表などのエクスポート
シフト管理、操作権限設定、ワークフロー通知、マネーフォワード クラウド給与との連携
※選定基準:
・キンタイミライ:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、本番開発前のプロトタイプ開発および導入後の無料調整を唯一行っているシステムとして選出(2023年5月16日調査時点)。
・ジョブカン勤怠管理:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、必要な機能を選んで価格が決まる製品で、機能が200種類と最も多い (2023年5月16日調査時点)。
・マネーフォワード クラウド勤怠:Google検索「勤怠管理システム」でヒットした55製品の内、一元管理できるバックオフィス業務のシステムが最も多い(2023年5月16日調査時点)。
ここでは、勤怠管理システムを乗り換えるにあたってよくある3つの課題ごとに、それぞれどういう基準でシステムを選ぶべきかを解説いたします。
既存のシステムでは自社のルールに合った管理でができておらず、手作業が発生しているなど、今のシステムに課題を抱えている企業もたくさんいらっしゃることでしょう。ホテル、運輸・倉庫、小売り、飲食といった、一般的なオフィスワーカーとは異なる勤務体系の業種に多いようです。
また企業規模が大きくなればなるほど従業員の雇用形態や労働形態が複雑になる上、高いコンプライアンスを求められることから、大企業を中心に既存システムでは対応しきれなくなるケースも散見されます。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「高いカスタマイズ性」を持つ勤怠管理システム。既存システムの機能では解決できない以上、自社仕様に機能を開発/調整してもらうほかありません。
このようなシステムを導入するにあたっては、細かいヒアリングを行った後、エンジニアが機能を調整してくれるため、痒い所に手が届くシステムになるでしょう。その分、既存のシステムよりもコストがかかりますが、従業員規模1,000名~といった大企業であれば 費用感は合うはずです。
機能の充実した勤怠管理システムを入れてはみたものの、運用を始めてみるとあまり使っていない機能があることに気が付くケースです。複雑な機能を用いて厳密に管理を行うというよりかは、選び抜いた機能だけのシンプルで低コストなシステムに乗り換えたいとお考えの中小企業も多いでしょう。
従業員からも、管理者からも直感的に使えないとの声が上がったり、実際にエラーが頻出しているケースもあるようです。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「機能を選んでコスパ良く使える」勤怠管理システム。「出勤管理機能」「休日申請機能」だけで良い企業もあれば、「シフト管理機能」も欲しい企業もあるでしょう。
企業の規模や労務管理の方法などによって、欲しい機能は異なるのが普通。機能を厳選することで、従業員にとってもシンプルで使いやすく、経営者にとってもコスパの良いシステムとなるのです。
事業の拡大に伴って従業員は増えるものの、労務管理を行う人数は増えていかず、管理する現場では負担が増える一方。既存のシステムでは勤怠とその他バックオフィスシステムを別々に導入しているため、うまく連携できていないという課題を持つ企業もいらっしゃることでしょう。
ベンチャー企業などにおいては、上場を視野に入れてバックオフィス業務を一気に統制していきたいというケースもあるようです。
上記のような課題を抱えている企業に必要なのは、「バックオフィス業務を一元管理できる」勤怠管理システム。「勤怠管理」だけでなく「給与」「会計」「経費」「人事管理」など、複数のバックオフィスシステムを展開しているシステムから、自社が必要なシステムを組み合わせて乗り換えると良いでしょう。
当然連携することを前提に開発されている為「リアルタイムでの数値同期」などで税理士との連携を行いながら、より効率的にバックオフィス業務を遂行することが可能です。